イマジナリー(Imaginary)は、“想像・空想上の”という意味で、本作ではクマのぬいぐるみが少女のイマジナリーフレンド(空想上の友だち)として登場する。舞台は、ジェシカという女性が子ども時代に暮らしていた家。ジェシカの継娘アリスは、地下室でクマのぬいぐるみを発見する。「ずっとひとりぼっちだったんだね」と同情を寄せたアリスは、Chauncey(発音はチョーンシー、チョウンシーなど)と名付けたぬいぐるみとすぐに仲良しになる。
アリスは新居の庭で、「スカベンジャー・ハント」と呼ばれる遊びをしている。これは借り物競走に似たアメリカの遊びで、リストに書かれた物事を自力で獲得していくゲームだ。
ジェシカは「楽しそうね」と声をかけるのだが、「Chaunceyがあなたとは遊びたくないって言ってる。置き去りにしたからだって」とアリス。ここまでは、子どもの可愛い空想のように聞こえる。アリスは、ゲームのリストに書かれている「ハッピーなもの」を探している。
しかし、そのリストをよく見ると「あなたを怖がらせるもの」「あなたを怒り狂わせるもの」と不気味なワードが並んでいる。「リストをすべてクリアできたら、Chaunceyがやってきたところに連れて行ってもらえるの」と、アリスはぬいぐるみとの関係に取り憑かれている。そしてアリスが次に行うのは、リストにある「あなたを痛めつけるもの」の達成。幼いアリスは柵板を外し、釘に腕を突き刺す。どういうわけかアリスの目には、鋭い鉄の釘がお花に見えている……。
このぬいぐるみ、何かがおかしい……。気づいた時には手遅れだ。アリスの行動は不気味さを増していき、「もう遊ばない!もう友達じゃない!」とChaunceyに叫ぶ場面を最後に、彼女は行方不明となる。どうやらこの物語には、幼い子どもを狙う悪霊「イマジナリーフレンド」が古くから言い伝えとしてあるらしい。今回の場合、母親ジェシカの幼少期の「イマジナリーフレンド」の怨念が怒っているということだが……。
Chaunceyとままごと遊びをするアリスが「あなたの後ろにいるって」と伝えると、ジェシカの後ろに本当に誰かいる。それが何なのかはわからないが、奇妙に首を傾けてジットリと立っている。最後の場面で、Chaunceyは突如恐ろしい化け物となって襲いかかってくる……。