1980年、ニューヨークのクイーンズ地区。11歳のポールはウクライナ系ユダヤ人の一家に生まれ育ち、同地にある公立学校に通っていた。父親のアーヴィングはアメリカン・ドリームを現実のものにすべく日々懸命に働いており、決して悪い父親ではなかったが、短気に過ぎるところがあった。そのせいもあってか、ポールは祖父のアーロンに人生の導き手を見出していた。
ポールは芸術への高い関心を有していたが、その手の生徒の例に漏れず、学校の雰囲気に上手く馴染むことができずにいた。ただ、自分同様に問題児扱いされていた黒人生徒、ジョニーとは打ち解けることができた。ところが、学校のトイレでタバコを吸ったことをきっかけに、2人の友情は崩れ去っていくこととなった。そして、2人の人生の明暗もここからはっきり分かれてしまう。中流家庭に育った白人であるポールは私立学校への転校によって立ち直ることができたが、黒人の貧困家庭に育ったジョニーはそのまま転げ落ちていくしかなかったのである。