ジグソウが帰ってきた。『ソウ』シリーズの中でジグソウことジョン・クレイマーは死亡したはずだが、どうして再登場できるのかといえば、この物語は『ソウ』1作目(2004)と『ソウ2』(2005)の間を描く物語だからだ。『ソウ2』でクレイマーは末期癌患者として登場し、肉体的には弱った状態でゲームを仕掛けていたが、そこに至る壮絶な物語が明かされることとなる。
本作では、末期癌に冒されたクレイマーが一抹の望みに賭け、危険で実験的な医療処置を受けるためメキシコに向かう。「彼女(医者)に命を救われました」と語る元患者らしき女性も登場するので、クレイマーも信用したことだろう。医療チームは「もう安心ですよ」とにこやかに迎える。
しかし、実は一連の治療は詐欺であったことが判明。癌細胞は残存しており、余命もって1ヶ月と宣告されたクレイマーは、「まだやるべき“仕事”がある」と呟く。
詐欺医療チームには『ソウ』シリーズでお馴染み恐怖の装置が取り付けられ、立場は逆転。いま、彼らの命を支配するのはこの男、ジグソウである。「やあ、みなさん。ゲームの時間だ」。
目を覆いたくなるような残虐なゲームも登場。器具で拘束された男に与えられた指示は、「脳みその断片をガラスの酵素タンクに入れろ」というもの。十分な重さを投入できれば、拘束を解く鍵が入手できるようだ。男は爪楊枝ほどの小さなドリルで、自分の頭に穴を開け始める……。
映像内に挿入される、「騙す相手はいくらでもいたのに、よりによってジョン・クレイマーを選んだのか?」という刑事のセリフがあまりにもパンチが効いて印象的。ゲームの被害者に“命の尊さ”を教えさせるジョン・クレイマーは、映像の最後にこう呟く。「これは報復ではない。“再起”なのだ」「生きるか死ぬか、お前次第だ」。