イラストレーターの奥沢 律おくさわ りつと営業マンの池上 郁哉いけがみ ふみや。古びた喫茶店で知り合いやがて恋に落ち幸せな同棲生活を送っていた。しかし自由気ままに生きる律とそれに振り回される郁哉の関係に次第にすれ違いが生じる。ある冬の日の喧嘩の後、家を出た律はアクシデントに巻き込まれ意識を失う。目覚めると律は郁哉の記憶だけを失っていた。
二人の関係性をゼロからやり直したいという思いから郁哉は律に付き合っていた事実を伏せて共同生活を再開。ところが律は記憶を取り戻す為、自分の馴染みの場所に連れて行って欲しいと言い出す。気が乗らない郁哉だったが、二人で交際の軌跡を辿る“旅”を始めることになる。初めて出会った喫茶店、いつも散歩していた川辺の道、付き合う前に二人で旅した場所……。甘い記憶とほろ苦い記憶、二人の時間が郁哉の脳裏を過る。一方律は記憶を失ったまま、次第に郁哉に惹かれて行く自分に気付き――。