1970年代末から80年代にかけて、『サンゲリア』などのインパクト絶大なスプラッター映画を手掛けたルチオ・フルチ監督の、代表作のひとつとされる1980年製作の作品です。地獄の門が開いてしまう物語の舞台は「ダンウィッチ」という町で、HPラブクラフトからの影響を伺わせますが、フルチ監督はその題材を、再び強烈なスプラッター映画に仕上げています。ヒロインを演じるカトリオーナ・マッコールは、1979年に公開された人気漫画の映画化『ベルサイユのばら』でオスカル役に抜擢された女優で、本作以降はフルチ映画の常連となりました。
アメリカの田舎にあるダンウィッチという小さな町で、1人の神父が思いつめたような顔をして、墓地へと入って行きます。そして神父はそのまま、墓地の傍らにあった木の枝にロープをくくりつけ、首を吊って死んでしまいます。
同じ時、ニューヨークの地下室で行われていた降霊会で、1人の若い女性がこの光景を遠視していました。自殺が罪深いものとされている、カトリックの神父が首を吊るという不吉な場面を間近に感じ、女性は悲鳴を上げてその場に倒れこんでしまいます。
メアリーというその若い女性はそのまま息を引き取り、駆けつけた警察はその死因に「不審なものがある」と感じます。降霊会に参加していたのは、麻薬の売買で逮捕歴のある者や、霊媒師として有名なマダム・テレーゼなど、ひと癖ある人物ばかりだったのです。