大きな湖のある街で起きた雑居ビル火災に始まり、物語は3人の視点で描かれる。
シングルマザーの麦野沙織は、息子の麦野湊(みなと)と一緒に消火活動を自宅から眺めていると、不意に彼から「豚の脳を移植した人間は?人間?豚?」と問われる。その後、息子の身の回りで不審な出来事が相次ぐ。
いじめや教師からの暴力を疑った沙織は小学校へ通い詰め、湊の担任である保利道敏や校長らを問いただす。このとき沙織は、他の教員から、校長が最近孫を事故で亡くしたことを知らされる。
一方で保利は、湊が星川依里(より)をいじめているのではないかと疑念を抱いていた。依里の父である星川清高の自宅を訪ねると、「あれは化け物。人間ではない、豚の脳が入っている」と告げられた。しかし最終的には沙織に追い詰められ、依願退職せざるを得なくなる。
湊は、たまたま教室の片付けで一緒になった依里と親しくなる。依里が見つけたという、廃トンネルの先にある捨てられた鉄道車両を二人だけの秘密基地にして、生まれ変わる瞬間という「ビッグランチ(ビッグクランチの誤用)」を迎える準備を進める。
二人っきりで過ごす日々が続いたある日。依里から転校するという事実を告げられ、湊はショックを受ける。
それから何か月もたった、ある日。台風が迫る中で、湊は何日も姿を見せない依里を連れ出し、家を飛び出す。残された作文から真相を悟った保利は、早織と共に後を追った。