自責の念から精神衰弱へと陥り、マデリンの影を追いかけ続けるスコティはある日、街角でマデリンに瓜二つの女性を発見する。追いかけると、彼女はかつてマデリンの通っていたカルロッタの旧居のアパートに住む、ジュディという女だという。スコットはジュディとデートの約束を取り付ける。
スコティは、せっかく出会えたジュディをも失う第二のトラウマを抱えて、精神衰弱から次第に正気を失っていく。一方ジュデイは次第に彼を愛してしまっていた。ジュディはスコティの狂気じみた要望に素直に応え、洋服、髪型、なにもかもをマデリンと同じにし、死んだはずの「マデリン」へと次第に変貌していく(ヒッチコックはこれを「屍姦」と称している)。
ジュディとスコティはいびつな愛を育もうとするが、ある時二人でデートに行く際、その愛は破綻を迎える。ジュディが首にかけたネックレスは、マデリンがカルロッタのものとして身に着けていたネックレスそのものだった。スコティに「マデリン」として会っていたのは、誰でもない彼女自身だった。高所恐怖症のスコティを利用して、エルスターの妻殺しという完全犯罪に加担していたのである。真相がはっきりと見えてしまったスコティはジュディを、マデリンが転落した教会へと連れて行き、彼女を問い詰める。高所恐怖症をも克服し、鐘楼の頂上でジュディに迫るスコティ。しかし、そのとき暗がりから突然現れた影におびえたジュディは、バランスを崩してマデリンと同じように転落する。絹を裂くような悲鳴。突然現れた影は、実はものものしい雰囲気を不審に感じて鐘楼に上がってきた修道女だった。十字を切り、転落した女の冥福を祈って鐘を鳴らす修道女。スコティは、呆然としてその鐘の音を聞いているばかりだった。