藤沢周平の“隠し剣”シリーズの中でも傑作の呼び声高い人気の一編を、豊川悦司主演、平山秀幸監督で映画化した時代劇。一度は死を覚悟しながらも一人の女の存在によって生への執着を取り戻した男が、剣客ゆえに不条理な藩の政道に翻弄され過酷な運命を辿る姿を、静謐かつ丁寧な筆致とクライマックスの壮絶な立ち回りシーンで描き出していく。
江戸時代、海坂藩の近習頭取・兼見三左ェ門(豊川悦司)は、藩主・右京太夫(村上淳)の失政の元凶である愛妾(あいしょう)・連子(関めぐみ)を3年前に城中で刺し殺すものの、寛大な処分によって再び藩主に仕えることに。亡妻・睦江(戸田菜穂)のめいであり、身の周りの世話をしてくれる里尾(池脇千鶴)との日々の中で生きる力を取り戻すが