昭和2年、長谷川町子(奥森皐月)7歳。町子は福岡で暮らす元気いっぱいの女の子。自然の中で一日中跳ね回り、家に帰れば片っ端から紙という紙に絵を描いていくという絵が大好きな女の子だった。炭鉱の技師をしていた父親(イッセー尾形)はオシャレで、なによりも家族を大事にする人、町子はそんな父親が大好きだった。しかし、昭和9年、町子(尾野真千子)14歳の時、他界。一家は東京へ行くことを決意する。決断の早い母(松坂慶子)は、漫画が好きという町子に15歳にして田河水泡(三浦友和)への弟子入りを進め実現させ、それがきっかけで町子は漫画家デビューを果たすのだった。内弟子として順風満帆な生活を送っていたが、戦局は厳しくなり一家は福岡へ疎開。終戦後、地方新聞から町子の元へ4コマ漫画の連載依頼が入る。アイディアに困った町子は、家の近くの百道の海岸で海を眺めながら、『サザエさん』を生み出すヒントと出会うのだった。『サザエさん』誕生の瞬間。それは、町子にとって苦難の始まりでもあった。